内なる静物. MT

The Still Life Within

内なる静物

美しい空間に、髪を切る音が静かに舞う。窓辺に満ちる光の粒が、今日の心に遠い気配を運んでくる。髪を切るときに交わした会話は、鏡越しにささやかに漂う。そのさりげないやりとりの中で、言葉にならない思いや、まだ気付いていない自分の何かがそっと顔を見せる。指先が髪をなぞるたび、日々のうち側に潜む名もない思いが静かに息づく。鏡の前で呼吸を整え、新しい自分にふと触れてみる時間。語られなかった言葉、小さな勇気は、それぞれの顔や髪とともに、静かにそこにある。カットやカラーの合間にひとつの物語が生まれ、知らない輪郭がそっと現れる。外の世界と重なりながらも、ひとりきりの時間はゆっくりと流れていく。今日の横顔や後ろ姿には、どこか懐かしい記憶が漂い、これから歩む自由の影が見え隠れする。光と影は静かなささやきのように、内なる何かに触れる存在である。この場所は、ほんの少し新しい自分に触れるための、静かで柔らかな時間を織り成す小さな扉でありたいと思う。

内なる静物. MT

この静かで柔らかな時間の中、鏡の前で呼吸を整えるとき、私たちは『内なる静物 (The Still Life Within)』と対話します。それは、髪が刻んだ時間の層であり、語られなかった言葉や、小さな勇気を静かに抱き続ける植物たちのような姿です。ドライフラワーが持つ不変の力と美しさに、一人ひとりの内に秘められた過去と未来の物語が重ね合わされます。髪はただの身体の一部ではなく、一本一本が静かに佇む美しい存在であると同時に、動きや生命を感じさせる複層的なものです。美術史においても髪は、美の象徴や内面の表現として肖像画や静物画で多くの作品に描かれてきました。そんな髪を「内なる静物」として見つめ直す試みです。束ねられ、解かれ、光と影に揺れる髪の形や質感から、被写体の内面や歴史、時間の層を浮かび上がらせます。


Banksia (Banksia)

花言葉「勇気ある行動」

バンクシアは、ヤマモガシ科(Proteaceae)に属し、オーストラリアの固有種です。学名は、オーストラリアの植物を初めてヨーロッパに紹介したイギリスの植物学者ジョゼフ・バンクスにちなんで名付けられました。この植物は、硬い果実の中に種子を閉じ込め、山火事などの熱にさらされることで初めて開いて種を放出するという、独特の生存戦略を持っています。この過酷な状況下での再生力は、オーストラリアにおいて変化への抵抗ではなく、それを受け入れ乗り越える力の象徴として親しまれています。

Photography : MIZUNO TAKU

Styling : NAGAI YUYA (vähän)

Carrot Flower (Daucus carota)

花言葉「秘めたる愛」「安息」

キャロットフラワー(ノラニンジン)は、セリ科(Apiaceae)に属し、ヨーロッパからアジアにかけて広く分布する二年草です。この花は、開花後に花房が内側に丸まり、鳥の巣のような形状になるのが特徴です。この丸まる動作は、種子を外敵から守るという本能的な行動であり、「秘密を守る」「内側に安息の場を築く」という象徴的な意味を持ちます。その繊細な花の形状と、乾燥後の静かに閉じた姿は、静物画において普遍的な記憶や時間を包み込む容器として捉えられてきました。

Photography : MIZUNO TAKU

Styling : NAGAI YUYA (vähän)

Rose (Rosa)

花言葉「神の祝福」「奇跡」「不可能」

バラは、バラ科(Rosaceae)に属し、世界中で愛される普遍的な花です。特に青いバラは、古くから長い間、自然界には存在しない色とされてきたため、「不可能」の象徴とされてきました。しかし、近年では遺伝子組み換え技術などにより開発され、その花言葉は「奇跡」「夢叶う」へと変わってきています。古代より、バラは愛と美の象徴としてだけでなく、静物画や肖像画において普遍的な感情や時間の経過を表現するために用いられてきた、文化的背景の深い花です。

Photography : MIZUNO TAKU

Styling : NAGAI YUYA (vähän)

Protea (Protea)

花言葉「自由自在」「変化」

プロテアは、ヤマモガシ科(Proteaceae)に属し、主に南アフリカ原産の植物で、南アフリカの国花にも指定されています。学名は、ギリシャ神話に登場する姿を自由に変える海の神プロテウス(Proteus)に由来します。数百種類に及ぶ多様な姿を持つプロテアは、その名が示す通り、環境に応じて変化し、適応する力を象徴しています。乾燥してもその壮麗な形を保つ性質から、永遠や不屈の精神を表す静物としても用いられています。

Photography : MIZUNO TAKU

Styling : NAGAI YUYA (vähän)

Kangaroo Paw (Anigozanthos)

花言葉「不屈の精神」

カンガルーポーは、ハエモドルム科(Haemodoraceae)に属する植物で、主に西オーストラリア原産です。その名称は、花が細かな毛に覆われた筒状で、開花するとカンガルーの前足 (paw) に似ていることに由来します。学名 Anigozanthos は、ギリシャ語で「開く花」を意味し、その特徴的な花姿を表しています。オーストラリアでは、過酷な乾燥地帯でも力強く育つその姿から、不屈の精神や独自性を象徴する花として親しまれています。

Photography : MIZUNO TAKU

Styling : KOBAYASHI MIKA (vähän)

Kangaroo Paw (Anigozanthos)

花言葉「不屈の精神」

カンガルーポーは、ハエモドルム科(Haemodoraceae)に属する植物で、主に西オーストラリア原産です。その名称は、花が細かな毛に覆われた筒状で、開花するとカンガルーの前足 (paw) に似ていることに由来します。学名 Anigozanthos は、ギリシャ語で「開く花」を意味し、その特徴的な花姿を表しています。オーストラリアでは、過酷な乾燥地帯でも力強く育つその姿から、不屈の精神や独自性を象徴する花として親しまれています。

Photography : MIZUNO TAKU

Styling : KOBAYASHI MIKA (vähän)

Leucadendron (Leucadendron))

花言葉「物言わぬ恋」「沈黙の愛」

リュウカデンドロンは、ヤマモガシ科(Proteaceae)に属し、南アフリカが原産です。この植物は、葉のような苞葉(ほうよう)が変化して色づくのが特徴です。乾燥に非常に強く、葉が緑色から褐色へと静かに色を変えながら、長期間その形態を維持する性質を持ちます。その耐久性の高さから、普遍的な愛や変わらない信念を象徴する静物として使用されます。その細長く密生した葉の形状は、内面で静かに、しかし持続的に育まれる感情を表しています。

Photography : MIZUNO TAKU

Styling : NAGAI YUYA (vähän)

Sea Holly (Eryngium)

花言葉「秘めた愛」「独立」

シーホーリー(エリンジウム)は、セリ科(Apiaceae)に属する植物です。その鋭いトゲと青みがかったメタリックな色合いが特徴で、ヨーロッパでは古くから薬草として用いられてきました。この植物は、海岸沿いや乾燥した荒地でも力強く生育する強靭な生命力を持ちます。その硬く、独立した花姿は、困難に立ち向かう強い意志や個性的な主張を象徴しており、中世ヨーロッパのタペストリーなどにも静物モチーフとして描かれてきました。

Photography : MIZUNO TAKU

Styling : NAGAI YUYA (vähän)


内なる静物. MT

vähän

ヴェハン・・・フィンランド語で「ほんの少し」

厳選したものだけを使い、昨日より「ほんの少し」でも、素敵で手入れのしやすいヘアスタイルを提供する美容室。 view more